COLUMN弁護士コラム
2024.03.22
交通事故による傷害の治療のための通院した場合の休業損害について
交通事故によって傷害を負った場合、傷害を負った者は、病院に通うのが通常である。
しかし、翻って考えてみた時、交通事故に遭い傷害を負わなければ病院に通院することもなかった。
そうだとすると病院に行かざるを得なくなったこと自体が損害ではないかという疑問が生ずる。
この問題と類似するものとして交通事故で傷害を負ったことから会社を休まなければならなくなった場合に有給休暇を消化した場合に有給休暇を消化したこと自体が損害ではないかという問題がある。
判例は、有給休暇を消化した場合は損害と認めているが,通院の場合は損害と認めていない。
私は、予てから通院を強いられた事による休業損害を認めるべきであるという立場で交通事故の損害賠償請求をしている。
損害保険会社との損害賠償の任意交渉では一部の損害保険会社が通院による休業損害を認めてくれていた。しかしながら、裁判所は、これを認めなかった。
ところが近時、和解事案であるが、山形地方裁判所と仙台地方裁判所で通院による休業損害を認める事案があった。
これが裁判所が交通事故による損害賠償において通院による休業損害を認める先例になるか否かは、今後の裁判所の判決の動向を見なければならないが、少なくても私の通院による損害として休業損害を認める事が全く根拠のないものでない事が明らかになった。
今後の判決の動向に注目したい。